≪イヴ゙の総て≫大女優はみんなイヴ゛さ!≪イヴの総て≫ 今日はこのページに来てくださったromyさんのリクエストで ≪イヴ゙の総て≫を紹介します。 作品中、劇団の女王として君臨している役に ベテイ.デイヴイスが扮している。 硬質なフエイス、確かな演技力、彼女自身がこのイヴ゙の総てを 地で行くような、彼女の若き日の姿を描いたもののように 思われる。 美人でもなく、お色気があるとはとても思えない。 彼女自身が我も強く、一切の甘さを排したその独特の個性には 崇高ささえ、感じられる。 あくの強い、臭い演技と言えばそうだが戦前、戦後と 日本ではかなりのフアンがいたと記憶している。 女王の座を虎視眈々と狙って、デイヴイスの元へ 入り込み、巧妙に媚態を売り、 謙虚さ風を演じ、頂点までわずか8ケ月で上り詰めるさまを 小悪魔的に鮮烈に演じたアン.バクスター. 貫禄女優デイヴイスの”動”の演技と デビューして四年目ぐらいの新人女優アン.バクスターの ”静”の演技比べです. 面白いことに二人ともハスキーな声の質なんです. 私は高いキンキン声が苦手なので、 特に心地よく感じました。 デイヴイスは後年、お化け女優に楽しさを見つけ 彼女の個性が年をとってもそのまま引き継がれていたのには 感心した。 フランスの大物女優、ジャンヌ.モローが、 デイヴイスを崇拝していたそうな. そのモローに日本の浅丘ルリ子が憧れを持っていたそうな。 並べてみると3人はどことなく顔が似ていますね. さて、作品は芸能界の内幕もので、日本でもこの後、 東宝で日本阪イヴの総てを作ったし、 ≪Wの悲劇≫の原型ともなりましたね。 B.ワイルダーの≪サンセット大通り≫が往年のハリウッドの 大女優の悲劇を描いたのに対して、こちらは 新人の無名の少女を主人公に据えました。 笑顔ひとつ、行動ひとつ、全て計算づくで、 無駄なことは一切ないこの女性のしたたかさ、 功利主義というようなものへの皮肉、風刺と取りましたが 観られた方はどういう風に? ストーリー アメリカ劇団最高の栄誉である、セーラ.シダン賞の授賞式、 満場の拍手を浴びてイヴはにこやかにその記念像を受け取る。 その様子をひややかに見つめる何人かの目があった. おもえば8ケ月前にはこの女性は、 女王マーゴの楽屋口でよれよれのレインコートと帽子を 被り、毎晩佇んでいた少女であった. 彼女を見つめているその目ーーはこの8ケ月間で、 嘘とずるがしこさを 嫌と言うほど思い知らされた者の複雑な目であった。 楽屋口で毎晩、マーゴ(ベテイ.デイヴイス)に憧れの目を 注いでいる娘(アン.バクスター)に同情した、 劇作家の妻ーカレンーは彼女をマーゴに紹介してやる、 身の上話にすっかり同情したマーゴは、彼女を家へ 引き取り、仕事を与える。 利口な彼女はマーゴの秘書であり、医者であり、母であり、 妹であり、弁護士でありと なんでもこなし、その才能を発揮する. が、しかし気が利きすぎて、マーゴはイヴのすることが いちいち癇に障り出す。 イヴは絶対に本性は出さないが、純情可憐な娘を演じているだけで 実際はマーゴの代役をいつかはと狙っている. その小ざかしい手段はこの場に入り込む為だけのものであった. マーゴ゙の周りの人間に上手く取り入りついには代役の座を掴む、 マーゴの恋人にまで近づいていく. 決して人には見せないがイヴは気に入らないと物を 鏡に投げつけるほどの激しい気性である. カレンもその良人も、みんなみんなイヴの計算したレールに 乗せられてしまったのだ. そんな彼女の全てを見ていた劇作家がいたが、彼だけはイヴの だましには引っかからなかった。 逆に”お前は俺のような男にこそふさわしい女だ”といって、 彼女を意のままに躍らせてセーラ.シドンス賞の座にまで 昇らせてやるのであった。 イヴの舞台は喝采を浴びたかもしれないが、ーー私はーー この8ケ月に及ぶマーゴの元でのお芝居こそ イヴの最高の演技であったと思うのですが.... その夜、イヴが賞の喜びに酔いしれてアパートに帰ると、 一人の美しい少女が深い憧れの目を自分に向けているのを見た. 8ケ月前の彼女自身がそこにいた.。。 制作 米 1950年度 監督 ジョセフ.L.マンキウイッツ 出演 ベテイ.デイヴイス/アン.バクスター ジョージ.サンダース ※ 余談 アン.バクスターは帝国ホテル旧館を設計した フランク.ロイド.ライドの孫娘です。 |